読書離れは起きていない⁉︎お父さんお母さんに教えたい読書の秘めた力!

教育

みなさん読書をしていますか?

いきなり不躾な質問をしてしまいましたが、今回は、一度は耳にしたことがある「読書と学力の相関性」についてお話していこうと思います。

僕は大学で日本文学を研究しています。僕は大学生の平均より読書をしている自信があり、一ヶ月に6冊(長期休みは10冊前後)、1年で考えると80冊以上読んでいます。

そんな僕の同級生には本は漫画しか読んだことがない人や文学に興味はないが学力的にちょうど良かったから文学部に来た、という人もいます。せっかく文学部に来て文学を学んでいるのだから本を読んでほしいな〜と思う今日この頃です。

スマホが普及して片手でなんでもできる時代です。電車の中で本を読んでいる人は絶滅危惧種と化しています。

身の回りを見ると本を読まない人が増えているように感じます。メディアでもよく「読書離れ」と言う言葉が取り上げられます。実際はどうなのでしょうか?

読書離れは嘘! 

全国学校図書館協議会の調査データによると小学生の一ヶ月間平均読書数、2019年(第65回)は11.3冊なのに対し、1989年(第35回)は6.3冊です。30年前に比べ現代の小学生は約1.8倍分の読書をしていることがわかります。

中学生の同じ調査で比べると2019年は4.7冊、1989年は2.1冊と2倍以上の読書量があります。


読書離れではなく、反対に読書量が増加している現れです。


これは2000年台から始まった「朝読書」の効果とされています。朝の時間帯に5~15分程度の読書時間を設けて、子供たちに読書習慣をつけさせることが目的の活動です。

年毎の読書量を比較すると読書離れはしていなく、反対に、実は読書量は増えていると言えますが、視点を変えれば違う景色が広がります。

先程のデータを見ると2019年度の小学生は一ヶ月平均11.3冊読んでいるのに対し、中学生は4.7冊です。高校生は1.4冊と年齢が上がるごとに読書量が減っていることがわかります。全国大学生協連の2017年調査で大学生の読書時間が過去最低の24.4分となっています。1日の読書時間が「0」分と答えた人が半数近くの49.1%もいます。

このような結果の要因はいくつも考えられますが、年齢が上がるとともに読書に割ける時間がないことが挙げられます。

高校生ぐらいになると勉強、部活、恋愛、バイトと忙しく家でゆっくり読書する時間は限られてきます。他にも小学生は字が大きくわかりやすい本を読みますが高校生以上になると読み進めるのに時間がかかり考えながら読む作品が増えます。

オーディオブックの普及による読書と認識されない読書が増加したことも無関係とは言えません。小学生の方が大学生に比べて読書をしているというのは驚きです……!

読書と学力の関係は?

次に読書と学力の相関性について話していきます。
 
親は子供に本を読ませたがります。子供からするとゲームをしていたいのに本を押し付けられるとウンザリしますよね。
ではなぜ親は子供に本を読ませたがるのでしょうか?

学習支援をしていて、一般的な学力以上の生徒さんはよく本を読んでいる傾向にあります。反対に一般的な学力以下の生徒さんに「好きな本は何?」と質問すると「本を読んだことがない。」と答える子が多いことも事実です。

学力と読書量には相関性があり、ベネッセの電子書籍読書率と定期的な実力テストの関係性を調べた実験で3つの事実がわかりました。

1,読書量が多い子ほど、学力が高い
2,読書量の多い子は算数や社会の学力が高い
3,読書量は国語の学力にはほとんど影響を与えない

読書量が多い子ほど、学力が高い

これは想像通りの結果と言えますね。実験でも読書量が多い子ほど、学力を伸ばしていることが分かりました。読書量の多い子は、平均で「+1.9」偏差値を上げています。対して、少ない子は「+0.9」、読書量が無しの子どもは「-0.7」と偏差値を下げていました。この変化をわずかなものと捉えるかは人それぞれですが、集団の偏差値平均は大きく変化しにくいという特徴を前提にふまえると、このわずかかな変化でも集団でみると大きいものではあります。

読書量の多い子は算数や社会の学力が高い

ここは謎ポイントですよね笑
なぜ読書量が算数に関係があるのか!?
学力偏差値の変化を教科別に分けてみると算数では、読書量が多い子は偏差値が「+3.5」である一方、無しの子は「-1.3」と、4.8ポイントの差が開いており、読書量が算数の学力変化に一定の影響を与えていることがわかりました。
また社会でも読書量の効果が見られました。
 
これは読書量の多さが「文章中に与えられた問いや条件を読み取る力」を高めていることや、読書習慣によって学習習慣が整い、「積み上げ型」の問題(計算問題など)の点数向上にプラスの効果をもたらしたと考えられます。

はっきりした理由はわかっていないので、子供の学力向上のためにもさらに調べていく必要がありますね。

読書量は国語の学力にはほとんど影響を与えない

ここも謎ポイントです笑
読書は国語だろ!とツッコミを入れたくなりますが、学力偏差値を教科別にみると読書量の多い子ほど国語の成績が特別いいというわけではありませんでした。


ここでひとつ疑問が浮かびました。

「読書量が多いから学力が高い」のではなく、逆で「もともと学力が高いから読書量が多い」だけなのでは?

これについてもベネッセは調べ済みです。(さすが大企業笑)

ベネッセのデータは2016年8月から2017年12月までの学力変化を調べたものですが、2016年の初期段階では読書量が少ないor無い子ほど学力が高く、読書量が多い子ほど学力が低いという意外なデータが残されています!

これは、電子書籍の読書量を調べたものであることやジャンルが広い(漫画などを含む)ことも関係していますが、学力が高いから読書量が多いわけではなく、調査期間を通して読書量が増えた子の学力が高くなったのです。

まとめ

日本に住んでいて日本語を扱う・理解する力は必要不可欠です。読書量の多い子ほど、その能力が高いから学力も高いのです。日本語を扱う・理解する力をつけるために、国語の授業はあるのですが、言葉は生き物です。

たえず動いているものであり、数学の公式のように「これを抑えておけば理解できる」というものではなく、ある種感覚で理解しなければいけません。その感覚を磨くために学校以外でも本を読む習慣をつけ感覚を磨いていく必要があります。

いきなり古典、純文学を読む必要はありません。僕もそうですが読書をしようと思っても興味あるものしかスラスラ読めません。

読書が苦手な人はこのことに気づけていなくて、最初に興味ない本を読んで読書全部が難しいと思ってしまったのではないでしょうか?
 
まずはライトノベルでも図鑑でもいいので本に触れてみてください!
お子さんが本を読まないとお悩みの保護者さんも、まず子供の興味の赴くままに本を選ばせてみてください!
それがいつしか習慣となり読書好きに変わっていますよ。

コメント